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世界最悪の紛争地ソマリア。「ギャング」に挑んだ若き日本人がいる

若い世代だからこそできることがある。

紛争「中」のDDR。前例なんてほとんどなかった

ーーギャングのプロジェクト含め、今取り組んでいる活動は、他国の国際協力の具体例から学んで取り入れたんですか?

 分野として前例がほとんどなかったので、それはできませんでした。もちろんDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)分野の文献は一通り読みましたが、それらは何千人の部隊を動員して行うものですし、何よりも紛争「後」の活動です。ソマリアやナイジェリアでやらなければならないのは紛争「中」のDDRなんです。

 そもそも武装解除を行うためには基本的な条件が三つあります。①和平合意があること、②最低限の治安、③各アクターの統一的な意思ですが、ソマリアの場合、これらが一つとしてないんです。にもかかわらず、紛争「中」に武装解除して、過激派組織やギャングたちを社会復帰させなければならない。DDRの常識から言えば、本来やるべきことではないことを、やらざるを得ない。

 前例がないので、どこかの組織のやり方をそのまま取り入れるということができません。

 僕たちは自分たちで状況把握・ニーズ把握・プランニングしてトライ・アンド・エラーを繰り返していくしかないんです。とは言え、僕たちだけでやっているというわけではありません。ソマリア最前線のモガディシュではイスラム武装組織「アルシャバーブ」向けのDDRをやっていますが、ここではアメリカの元ネイビー・シールズで構成されたコンサル会社と、ソマリア政府と組んでいます。「Movement with Gangsters」では地域のメディカル・クリニックや、現地の若者組織と連携して、話し合いの場を設けていますね。

インタビュー第二回「国際協力=ユニセフに抱く違和感。日本に足りない“イシュー・ファースト”」に続く。

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永井 陽右

ながい ようすけ

NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事。1991年神奈川県生まれ。2015年3月早稲田大学教育学部卒。2016年12月ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの紛争研究修士課程卒業。早稲田大学在学中にソマリアの大飢饉と紛争の問題を知り、NGO「日本ソマリア青年機構」を設立。2017年よりNPO法人化し「アクセプト・インターナショナル」の代表理事を務める。第28回人間力大賞(外務大臣奨励賞)、小野梓記念賞特別賞など受賞多数。


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